患者さんからお問い合わせを頂いたり、また現在勤務している整形外科で良く聞かれるのが、
『腰痛って完全に治るんですか?』
という質問です。
この質問、私はなかなか「奥が深い」と感じてしまいます。
というのは、患者さんがいう「治る」と治療者がいう「治る」には少し開きがあるように感じているからです。
腰痛で来院した患者さんが治療を受けて、
『腰痛が治りました』
という言葉を聞くととても嬉しいのですが、反面少し心配になる事があります。
それは、「腰痛」という症状が楽になったのであって、「腰痛」を起している原因そのものが治ったわけではない場合が多いからです。
その裏づけとして、腰痛は再発するケースが多いですよね。
『1回は良くなったんだけどまた痛くなりました』
『1年に何回か腰痛が出るんです』
なんてことありませんか?
実は「腰痛」は症状であって疾患名や病名ではありません。
何か原因があって「腰痛」という症状が出ているんです。
その原因は様々で、中には骨や靭帯、椎間板、脊柱管といった【構造的な部分】に問題を起して症状が出ている場合もあります。
このような時、治療者側がいう「治ります」というのはこういった【構造的な部分】が全て健康な状態(元通り)になるということではなく、その原因で起きている腰痛という症状をできるだけ緩和することにができますということなのです。
これは仮に手術をした場合でも同じだと思います。
手術をしたからと言っても【全てが元通り】にはならないのです。
手術をするということは、大なり小なり皮膚を切り、筋肉の繊維を切り、毛細血管を切りながら目的の患部まで行って治療するわけです。
仮に患部自身は元に近い状態なるかもしれませんが、周りの組織にある程度のダメージが残る事を考えても【全てが元通り】ではないのです。
ですから【できるだけ元の状態に近づける】ためにリハビリやその他の治療があるのです。
しかし患者さんの中には
『腰の痛みがとれた=腰痛が治った』
ととらえてしまう人もいらっしゃるのも事実で、症状がとれた後はリハビリや治療、トレーニングなども止めてしまうのです。
そうして暫くすると再び痛みが出てきて来院・・・。
そういった時聞かれるのが、
『腰痛って完全に治るんですか?』
ということなんです。
そう聞かれた時に私はこうアドバイスさせてもらっています。
「腰痛というのは症状です。
症状が出ているということは何か原因があります。
その原因を調べる為には整形外科等の専門医療機関でお医者さんの診断が必要です。
その原因によっては腰痛という症状を緩和させる治療は可能ですが、それは元通りに治るということではありません。
場合によっては今後腰痛という症状とうまく付き合っていかなければならないケースもあります。
もしあなたのいう【完全に】というのが痛くなる前の【元通り】ということを指すのであれば、それは難しいと思います。」
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